粒径が種々異なる粒子が、母相中に分散している合金において、小さな粒子が収縮、消滅し、大きな粒子が成長する現象。焼結、緻密化機構が、液相存在下の焼結であり、固相が液相に対して溶解度を有するような焼結の溶解・析出過程において一般に生じる。これは固相の液相への溶解度が粒子半径に依存することに起因する。粗細粒子間の溶解度差については、Thomson-Freundlichの式から以下が導出される。平衡溶解度をSとし、半径rの粒子の溶解度と平衡溶解度との差を△S、固相液相間の界面張力をγ、原子容をδ
3、ボルツマン定数をk、温度をTとすれば、△S=(2γδ
3/kT)(1/r)S すなわち、△Sはrに反比例し、rが小さいほど大になる。従って、粗細粒子間に溶質の濃度勾配が生じ、微粒子側から粗粒子側に液相を通して溶質が拡散する。微粒子近傍の溶質濃度は減少するので微粒子はさらに溶解し、その径を減じるのに対し、粗粒子近傍は溶質濃度が高くなり、溶質が析出し粗粒化する。なお、前掲の式からも分かるように、オストワルド成長すれば全系の界面エネルギーが小さくなる。
粉体粉末冶金用語辞典 より
編者:(社)粉体粉末冶金協会
発行所: 日刊工業新聞
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